井上フヂヲ(開音ミュージック)

広島県尾道市を中心に
サックス奏者として活動している井上フヂヲです
ライブのことや、経営している音楽教室の
開音に関する記事など

2021年01月

演奏前にはウォーミングアップをしましょう

今回はサックスの話です。


サックスの音が出る仕組みはリードの振動によるものです。
ギターやベースで言うと弦。トランペットやトロンボーンだと唇にあたります。

リードは葦という竹のような植物でできていて使用前は乾いています。
乾いていると振動しにくいので水分を含ませてあげる必要があります。
なのでサックス奏者は先ずリードを咥えて、その状態で楽器を組み立てます。咥えておくことでリードが湿ってくるんですね。


そしてもう一つ。
サックス本体の温度によってピッチ(よくわからない方は微妙な音程というイメージで良いです)が変わります。
例えば今の時期だと気温が低いのでケースから出したばかりのサックスは冷えています。冷えているとピッチが下がりますのでマウスピースは深めに挿すことになります。

しかしここで注意しなければなりません。
始めは冷えているサックスが演奏していると息によって温まってきますので今度はピッチが上がります。
冷えた状態でチューニングしてマウスピースを深めに挿している状態だとチューニングが高めにズレるのです。


リードの水分、サックス本体の温度、この二つを安定させるために演奏前のウォーミングアップが大切です。
また、それだけではなくG#(ソのシャープ)、Low C#(低いドのシャープ)のキーの貼り付きや故障の発見にも繋がりますのでライブや発表会の前のウォーミングアップはとても重要なのです。


レッスン前に楽器を組み立てたらそのままボーッと講師が喋り始めるのを待っていませんか?
ウォーミングアップは指やアンブシュアを整えるだけでなく、サックスを演奏しやすい状態にするためにも大切なことなんです。



【サックスとfujiborn】
初心者はまず息をしっかりと吸って大きな音で演奏しましょう

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プロから見た楽器の上手い下手

初級の方が1年練習し続ければ中級の曲を演奏することはできます。
中級の方が1年練習し続ければ上級の曲を演奏することはできます。

時間をかければ多少レベルの高い曲もマスターできてしまうのが楽器の面白いところだとは思いますが、実際それをやって得られるのは「その曲なら演奏できる」という程度のこと。

レッスンでは1曲をマスターするのに2~3ヶ月を目安にしています。
生徒さんのやりたい曲をやるようにはしているものの、レベルからかけ離れている曲に関しては「もう少し上達してから」と言うようにしています。


テレビで「芸能人が全くの初心者から楽器を演奏できるようになる」という企画がありますが、あれは「その曲を演奏するためだけの技術」をレクチャーしているので不可能ではありません。
しかし「その曲」だけのためのレッスンですから恐らく全く応用のきかない状態になっていると思います。
企画ですから、その曲だけできれば問題ないですよね。


音楽教室のレッスンでお伝えしたいのは「楽器を演奏することの楽しさ」です。
色んな曲を自由に演奏できるようになることが大切だと思います。
より多くの曲を演奏するには「短期間で曲をマスターできること」だと考えています。

多くの曲を演奏することで「演奏におけるパターン」のようなものがわかってきます。
バラードにはどんな表現が合うか、ハイテンポな曲はどんなタンギングが合うか。
様々な曲で様々なニュアンスを知っていくことはそのまま「音楽のセンス」として体に染み込ませることができます。


難しい曲も時間をかければマスターできますが、それよりも簡単な曲を美しく演奏できることのほうが重要だと思います。
例えばライブで10曲を演奏するのにずーっと難しいフレーズばかりを演奏することはないので。


プロが着目するのは「曲をどれだけ自分のものにしているか」です。
2年間猛練習してマスターした曲ではなく「自分のレベルに見合った曲で自分らしい表現をどれだけできているか」です。

例えば演奏の仕事では当日に、ギリギリな場合では本番開始直前に楽譜を渡されることも珍しくはありません。
1時間程度練習して本番とかMCの間に譜読みをしながらどういった表現をするかイメージ作りをしたりです。更にはメインのミュージシャンやバンドに合った表現で演奏をする必要がありますから、そうなってくると自分の中にある演奏パターンの多さが必要になってきます。


期間を短く、且つただ楽譜通り演奏するだけではなく曲に合わせたニュアンスを自分なりに表現してみることが大切です。

アマチュアの方が「難易度の高いこの曲が演奏できます」というのをプロミュージシャンは「ほー、凄いねぇ」と言いつつも、どのくらいの期間で習得したのか、どんな表現で演奏するのか、そっちに興味があります。


本当の楽器の上手さは
・短期間で演奏できるようになる
・ただ楽譜の通りに演奏するのではなく自分なりの解釈での表現ができる
という部分に重点を置くのが良いです。



【サックスとfujiborn】
スケール練習は速さではなく正確さを重視

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楽譜にはどんどん書き込みましょう

サックスの音は大きいので20人規模くらいのお店だと生音で演奏することが多いです。
マイクを使う場合もクリップマイクを使用しているので立ち位置が割りと自由です。







サポートのお仕事でメンバーが多めのバンドの場合、ステージが満員な感じになり、譜面台を立てるのが大変だったりします。
譜面台を立てたとしてもそこから距離をとることができず譜面台が役にたたなかったり。。。

それで「何だか面倒くさぁぁぁぁい!」と思ってから構成やキメなどを極力覚えてしまうことにしたのですが。


生徒さんにはなるべく楽譜に書き込むようにアドバイスしています。
中には楽譜を綺麗なままでキープしたい方もいらっしゃいますが演奏のほうはあまり綺麗ではないですね。

レッスンを受けて、しっかり自宅での練習をしていても忘れたりミスしたりはあります。
それは人間なので仕方のないことであり起こって当然のことです。
でもそれを書き込むことで防止できるのであれば是非やるべきだと思っています。

楽譜の目的は
・綺麗に使うこと?
・綺麗に演奏をするため?

「綺麗に使うこと」を選択した方はきっと音楽の才能に溢れる素晴らしいプレイヤーでしょう。


楽譜は「綺麗な演奏をするため」のものです。
間違えやすい箇所、ついつい忘れてしまう箇所などには印をつけましょう。
他にも、テヌート気味に演奏したりタイトな感じで演奏したり、楽譜には記入されていないことが沢山ありますから手書きで書き込んでいくことはとても大切です。

もしあなたにしかわからないような暗号いっぱいの楽譜になってしまったとしても全く問題ありません。
例えばあなたが人前で演奏するとしても楽譜をお客さんと共有することはないのですから。



【サックスとfujiborn】
クリーニングスワブは時々洗いましょう

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お手軽な金額設定には害しかなかった

音楽教室を始めた頃、当初はレッスンをするつもりで開店したわけではなかったので
「ギターを教えて欲しい」
とお店に時々立ち寄ってくれるご近所の方に頼まれてレッスンをするようになりました。

「レッスンはメインではないから」
というつもりで1回のレッスンを1000円で引き受けていました。
その方のレッスンに関してはその金額設定で良かったのですが。

そこから徐々にレッスンの依頼が増えて、それでも自分が中学生の頃に突然レッスンに行けなくなったこともあって1回1000円というお手軽な金額のまま引き受けていました。

「リーズナブルにレッスンが受けられるし、きっと喜んで頂けているだろう」
と思っていたもののこれは間違いでした。


お手軽に受けられるレッスンに来られる方は
・お手軽に休む
・お手軽に辞める
・お手軽にお月謝の支払いを遅らせる

連絡なく無断欠席をしたり、連絡なく来なくなったり、お月謝を1ヶ月近く遅れて支払う人がいたりと、一部の人だけでなく割りと半分くらいの生徒さんがこんな感じだったのです。

「良心的なレッスンをしているんだけどな、何でだろう」と
困惑しましたが結局のところ「お手軽に来ている人が多かった」ということです。


サラリーマンとして普通に会社に勤めていた頃に友人に頼まれて出張でギターレッスンをしていたことがありました。
友人ということもあって無料でレッスンをしていました。

そこで起こったことは
「早い段階で全く練習しなくなり、すぐ辞めた」

そんな経験も思い出し、やっぱり「何かを出してそれと同じ価値を得ようとする」という感覚は重要だと思いました。


以来、僕のレッスン料金はちょっと高いです。
尾道市内であればもっと安くレッスンを受けられる教室のほうが多いです。

ですがそれを認識しているからこそ常にレッスンの内容や教材、スタジオの設備などをそれに見合ったレベルになるよう気を付けています。

そして最も気を付けているのは自分の「人間としての研鑽」。
プロミュージシャンが講師とはいえ、やはりそこは人と人との貴重なご縁です。そしてレッスンを受けた講師によってその生徒さんの人生の中での「楽器」や「音楽」のポジションは変わってくると思います。


レッスンやお仕事の依頼については同業者やクリエイターの友人とも時々話をします。
明確な金額の基準がない職種なだけに、場合によっては割りに合わないギャラの設定で依頼が来たりもします。

「その際の対応は?」と聞かれたら
「芸術家としての自分の価値が伝わらない人からの仕事を受けることは、自分で自分の価値を下げているのと同じこと」と答えます。


少々話がズレましたが、音楽教室における安売りで苦い経験をした思い出話でした。



【サックスとfujiborn】
いつも同じ高さで楽器を構えることも上達です

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教えるのが下手だったりもした

音楽教室を始めてから12年。
今になって振り返ると結構ヤバいレッスンだったなぁと思います。
教室を始めて1~2年ぐらいまでの間に来てくださった生徒さんには本当に感謝しています。

僕に限らず、レッスンをする時に教え方の基準になるのは
「自分が受けたレッスン」
「自分がやってきた練習」
だと思います。

レッスンは殆ど受けていない代わりに毎日3~8時間の練習をしてきた僕にとっては「音楽をやるなら練習を毎日やるのが当然」という考えでした。
そもそもこれが誤解でした。


趣味で楽器をやってる人でストイックに練習をするなんて少数派です。
15分でも毎日練習をしているとしたらそれは模範的な生徒さんです。

当時はそんなこと知りませんでしたから、なかなかシビアな講師だったこと間違いなしです。


「大切なこととしてやってきた音楽をいい加減な姿勢で捉えて欲しくない」
などと辛い気持ちになって教室を閉めようかと悩んでいた時期もありました。
でも考えてみたら「楽しみ方は人それぞれ」なんですよね。

その「それぞれ」の中でサウンドトレジャーイノウエ音楽教室を選んでくれて、そこでレッスンを受けてくださっている。そのことに気付いたときには「始めの2年くらいまでの生徒さん、ほんまゴメン」って思いました。


音楽教室を始めてからずっと「個々の生徒さんの演奏したい曲をやる」というスタンスでずっとやってきました。
「もっと楽しめるように楽譜を自分で作成しよう」とか
「理解しやすい伴奏音源がないからCubaseで作ろう」とか

生徒さんがレッスンを楽しめるように工夫すればするほど手間が増えてしまってレッスン以外の作業時間のほうが長い日なんかもちょいちょいありますが、やりたい曲が上手く演奏できるようになったときの生徒さんの様子とか見ていると「やっぱり手間が増えてもそのやり方がいいな」と感じます。


新規で入会されてレッスンで初めてサックスやギターを手にされる生徒さんも多いですが、僕も教室を始めたときは講師の初心者だったということですね。
12年というと小学校に入って高校を卒業したのと同じ年数です。まだまだ講師として勉強をしていく必要があります。

生徒さんと一緒に成長していける自分でありたいと思っています。



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スケール練習は速さではなく正確さを重視

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